こうやって国家試験の合格率をあげてきました。卒業しても作業療法士になれない、免許とれない、を無くしたい!

2018/11/19


こんにちは。

国家試験担当(←と勝手に名乗ってますw)の作業療法科教員です。

前回は「国家試験に落ちたら…」というテーマで書きました。

え!?卒業しても作業療法士になれない!?そんなにたくさんいるの!?国家試験に落ちたら…国家試験の合格率、ワケあってこだわってます

7年前、60%台だった合格率。

いろいろ対策を工夫して、4年かけて100%。

その後も100%、92%と、3年間高い合格率を維持できました。

2018年度、全員合格しました!東北では唯一の100%達成! 3年生の全国模試も3位。

国家試験~全員合格!東北で唯一の100%達成!!いっぽうで全国の合格率は過去最・・・(汗)

宮城県の作業療法課程で合格率90%以上を続けられているところは、専門学校ではうちだけ、大学を含めても、あとは東北福祉大学くらいだと思います。

今回は、なぜこれまで合格率が低かったか、どうやって合格率をあげてきたか、について書いていきます。

ラクして覚える努力が足りない…あ、矛盾してますね(;´∀`)

前回の記事でも書きましたが、国家試験の勉強は、基本的に自習です。

就任時から学生の自習の様子を見てきましたが、成績が伸びない学生たちは怠けていたわけではありません。高校時に勉強の習慣がなかった学生でも、4年生にもなるとさすがに習慣はついています。

ただ、その自習の方法はあまりに愚直、あまりに正直なものでした。

確かに見た感じ頑張ってる、しかし点数が伸びない、時間だけが過ぎていく。

座ってノートを埋めていくことは努力ではありません。どうやって理解するか、どうやってラクに覚えるか、その工夫こそが努力なのです。

傾向と対策、という基本的な受験テクニック

その工夫の一つが、試験勉強の基本中の基本である「傾向と対策」です。

成績の伸びない学生たちは「傾向」を軽視しすぎでした。

国家試験はマークシート式なので、出題者の方もマークシートで答えられるような出題になります。

出題者側の立場にたてば、かなり制限された状態で問題を作っていくことになるわけです。

答える方は、その制限を利用することで、理解、暗記をスムーズに進めることができます。

たとえば「消去法」はその典型例です。

また、膨大な量を覚えなければいけないとき、過去問を集計することで、覚えなくていいものがわかってきます。

「これは覚えなくいい」って言われると気持ちがラクになりますよね(笑)

ただ、その集計や傾向を捉えるとは大変なので、この学校の合格率を上げるために、というか100%全員が合格できるようにするために、僕が学生に代わってこの作業を行うことにしました。

暗記を減らす工夫をしよう

少し具体的な内容に入ります。

下の図は、排尿機構を覚えるときに使うものです。

尿を出すとき、とめるとき、そのメカニズムを理解し、覚えます。

図の他にも、様々な覚えるべき言葉が出てきます。

一瞬「ああ、覚えきれない」となります。

僕も「ああ、教えきれない」となりましたから(笑)

でも、よくよく理解してみると、結局暗記すべきは「かふくこうかん」、ただコレだです。

この呪文だけ覚えてしまえば、残りはスルスルと出てきます。

詳しい説明は、ええ、まあ、ここでは説明しきれませんけどね(;´∀`)

少ないキーワードを覚えるだけで、それがトリガーとなりたくさん思い出すことができる、そういう工夫があるということはわかってほしいと思います。

本番の緊張の中でも思い起こせるかどうか

マジックナンバー7というのがあります。

ヒトが短期記憶で覚えられるものは「7つ」くらいというものですが、今では否定されていて、実際はもっと少なくて、4つくらいというのが定説になっています。

確かに電話番号を口頭で言われても、4桁~5桁くらいしか覚えられないというのは感覚的に納得できます。

でもその記憶力で、5時間40分の国家試験に立ち向かわなければいけないんですよね。

数字をたくさん覚える問題に、デンバー発達判定法というのがあります。

赤ちゃんが生まれて…

座れるようになる:5~8ヶ月
一人で2秒立つ:9~14ヶ月
積み木を持ち変える:8~12ヶ月
コップで飲む:10~16ヶ月…みたいな組み合わせが約120個あります。

もう一度いいますけど、120個です!!!

私は学生の頃、これが試験に出ると知ったとき愕然としました。

覚えきれるわけないですし、だいたい「暗記することになんの意味があるんだ?」って思いません?

頑張って覚えたとしても、こういう数字って本番になると急に自信がなくなるんですよね。

「4ヶ月だったような…あれ、4だっけ?6だっけ?8のような気もしてきた…」

でも試験に出るからには、覚えるしかありません。

まずは120個から、試験に出る項目を30個に絞ります。

この絞る作業も「傾向と対策」ですね。

30個だと覚えられる気がしてきます。あの手この手で覚えていきましょう。

例えば上の図のように絵にして覚える、例えば語呂合わせを作る、例えば発達の順序の理屈から覚える、等。

それで、覚えていくに連れて、子ども発達の順序性だとか原始反射との関係だとかが理解できるようになっていったので、覚えて損はなかったなと今は思います。

覚える意味ないよねとか言ってゴメンなさい。

こういう覚え方をすると、関連付けにくい数字の羅列も、自信をもって答えていくことができます。

ついでに吸啜反射の消失時期の絵をお見せしましょう(笑)

「この領域はどう捉えたらいいんですか?ポイントは何なんですか?暗記しきれないので何か工夫ないですか?」という質問がくるようになった

国家試験の対策を始めてからしばらくすると、学生からそういう質問が来るようになりました。

試験に慣れてきたな~と思います。

以前は「先生、国試って何出るんですか?」でしたから(;´Д`)

今年度の国家試験は2月24日です。

あと3ヶ月。

現役生100%合格は最低ラインの目標です。

昨年落ちた学生1名も学校にきて勉強しています。

前回の記事で書きましたが、浪人生の合格率は10~20%程度です。

え!?卒業しても作業療法士になれない!?そんなにたくさんいるの!?国家試験に落ちたら…国家試験の合格率、ワケあってこだわってます

数字だけ見れば、浪人生は作業療法士になれないかも…という確率は低くないのですが、この学校を卒業したからには「合格!絶対に作業療法士になる!」というのが最大の目標です。

学生と一緒にがんばります。

国家試験のウラ話とか、あと学校の様子が見たい学生さんはぜひオープンキャンパスに来てください。

授業の様子なんかは、作業療法科のブログを読んでもらうのがいいかなと。雰囲気は伝わると思います。