塗るか塗られるか
突然ですが、みなさん混色ってご存知ですか?
色を混ぜる——そのままですね。
でも正解です!
今日はクレパスの混色をする授業の紹介です。
クレパスとは
クレパスとは、クレヨンの定着性の良さとパステルの混色のしやすさを併せ持った描画材です。
見た目もクレヨンのようですね。
下準備
まずは何事も準備が必要です。料理でも下ごしらえをしっかりするかどうかで、味がだいぶ変わってきます。
今回は混色がテーマですが、混色したときの違いがわかりやすいように、枠線を引いていきます。精確な線を精確な間隔で引くこと。今までの学校教育の中で何度もやってきたことではありますが、何回やっても難しいことですよね。
早くクレパスを使いたいという、はやる気持ちを抑えつつ、定規と鉛筆で線を描いていきます。
大事な作業なので、細かくチェックが入っていきます。ここがズレると、最後の見栄えが変わってきてしまいます。
さて本番
枠線を書き終わったら、お待ちかねのクレパスの出番です。
まずは、黄色と肌色の混色から。黄色を先に塗っていきます。
紙の白い部分が少し残る程度に塗っていきます。塗りムラはすぐに修正します。
ブレているのではありません。右手が超高速で動いているのです。
塗り終わったら、肌色を重ねていきます。
黄色の上から肌色を塗ると、上のような色になりました。
重ね塗りをするときには、注意しなければならないことがあります。最初に塗った色が、次に塗った色のクレパスについてしまうので、それを丁寧に拭き取るのです。
次に使う人のことを考えての心づかい。汚れたままにしておかないことは、画材を大切にする気持ちの表れでもあります。
拭き終わったら、隣のマスに進んでいきます。
2番目のマスにはオレンジ色の上から赤色を重ね、3番目のマスにはピンク色の上から紫色を重ね……と、どんどん塗っていきます。
塗っては……
拭き……を繰り返していき、2段目に突入します。
2段目からは、1段目と逆順に重ね塗りをしていきます。
1段目の最初に塗ったのは黄色で、その上から肌色を重ね塗りしました。ですので、2段目の最初は肌色を先に塗り、その上から黄色を塗ります。
隣も順々に塗っていきます。
塗り終わったら、最初に描いた枠線を消しゴムで消していき……
重ね塗りした色の名称と順番を記していきます。
一心不乱に、塗って消して書いての作業を進めていきます。
重ね塗りが一通り終わったら、塗りムラや塗り残しがないか厳しくチェックしていきます。
保育の現場で働くとき——すなわち子どもたちの前では、クレパスを使いこなすスペシャリストでなければなりません。
一切の妥協は許されないのです。
塗ったほうが強いのか、塗られたほうが強いのか
できあがった作品がこちら。
1段目と2段目、3段目と4段目の違いが分かりますか?
絵の具とは異なり、混ぜる色の量の違いではなく、塗る順番によって色合いが変わってきます。同じ2色を使っているのに面白いですよね。
違いを知るだけでなく、違いをしっかり出すスキルも磨いていかなければなりません。
スペシャリストとして……
クレパスの混色の授業はここまで。みなさん、いかがでしたでしょうか。
線を引いて色を塗る。それだけの作業と思うかもしれませんが、みんな真剣に取り組んでいましたよね。
子どもに教えることを前提としたとき、やったことのあるような単純な作業でも、今までとは違った景色が見えていたのではないでしょうか。